Lesson15 7.フリーランスの開業届

フリーランスの開業届って何?

フリーランスの開業届は、開業を税務署へ届け出るための書類で、正式名称を「個人事業の開業・廃業等届出書」といいます。簡単に言えば、個人事業主になることの宣言書類です。
フリーランスになった、あるいはこれからフリーランスになる時には、開業届をいつ提出するか、必ず提出しなければならないのかという疑問があると思います。

では、フリーランスは絶対に開業届を出さなくてはいけないのか?

 

開業届は出さなくてもいい?

フリーランスで開業しても、開業届は出さなくても問題はありません。
届け出の有無に関わらず、納税の義務があることは変わらないからです。
収入があれば必ず確定申告を行わなければなりませんし、その義務を怠ることはペナルティを負うことにつながります。

フリーランスがなぜ開業届の届け出を迷うかというと、そのメリットがイメージできないことが、ひとつの大きな要因。

 

開業届を出すメリットとデメリット

フリーランスにとっての開業届には、メリットの方が大きいといえます。
なぜなら、開業届を届け出ることによるデメリットは回避のしようがあるからです。
開業届を出すメリットとデメリットには、以下が挙げられます。

メリット1:青色申告ができる
メリット2:社会的信用が生まれる
メリット3:家族に支払った給与が経費になる
メリット4:赤字の繰り越しが可能
メリット5:税務署で無料の記帳指導が受けられる!
デメリット1:青色申告の計算が複雑
デメリット2:失業保険が受けられなくなる

 

フリーランスが開業届を出す最大のメリットは「青色申告」で確定申告ができることです。
そして、青色申告のなにがメリットなのかというと、控除金額が最高65万円の特別控除ががつけられることです。
控除の金額が大きいということは、所得金額を低く申告できるということ。

つまり、納税額が安くなることを意味します。
「所得税の青色申告承認申請書」とともに、開業届を提出することで青色申告をすることが可能になります。
青色申告のメリットを知れば、開業届は出すべきであることが理解できるでしょう。

ちなみに、この「所得税の青色申告承認申請書」を開業から2ヶ月以内(白色申告から青色申告に変更する場合は、青色申告をする予定の年の3月15日まで)に提出しないと、確定申告で青色申告することはできなくなってしまいます。

 

メリット2:社会的信用が生まれる

フリーランスが開業届を出すことで、税務署が開業したことを認知します。

その際には、あなたの事業内容や仕事をする場所(所在地)、屋号なども記載できます。
開業届を出すことで、あなたは社会に対して、ひとりの事業主と認知されるのです。
個人事業主ならば、事業用の銀行口座やビジネスカードも作れます。

また、個人事業主として融資を受けられる可能性もあるのです。
フリーランス(個人事業主)を届け出ることで、社会の機関は、あなたを事業主として扱うため、融資などの話も来るようになるでしょう。これが、開業届を出した場合に得られる2つ目のメリットで、社会的信用です。

  

メリット3:家族に支払った給与が経費になる

夫や妻、子どもなどに仕事を手伝ってもらって給与を支払っている場合、対象者を「青色申告専従者」としておけば、給与分が経費として計上できます。「配偶者の専従者給与は年間86万円まで」と定められている白色申告に対し、青色申告はそうした定めがありません。

なお、青色申告専従者給与制度を利用するためには、事前に「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出しておきます。開業届」と「所得税の青色申告承認申請書」を提出する時に、一緒に提出してしまうのがよさそうですね。

 

メリット4:赤字の繰り越しが可能

事業を行った結果赤字が出たら、その年の所得税を払う必要はありません。
青色申告の場合、前年の赤字を次の年に繰り越して計算できるのが特長です。

メリット5:税務署で無料の記帳指導が受けられる!

ただし平日のみ、数回の講習になりますのでご注意を。


デメリット1:青色申告の計算が複雑

青色申告はその計算が複雑で、最初は戸惑い、一人で完成させることができないかも知れません。しかし現代では、自動的に青色申告の申告書類を作成してくれるサービスもあります。日々の支出を家計簿のように入力、また、クレジットカードなどを使った決済は自動的に記録してくれた結果を、青色申告として完成された申告書を作成してくれます。フリーランスとして、ある程度の売上が出るようになれば、プロに任せてしまうという手段もあるでしょう。

このようにデメリットの回避方法があるならば、開業届を出して青色申告を行うことには、メリットしか存在しないということになりますね。

 

デメリット2:失業保険が受けられなくなる

失業保険は、再就職の意思を持って就職活動を行っている人のために、生活費として支給されるものです。
開業届を提出していれば個人事業主と判断され、対象外となることがほとんどです。

 

開業届を出すタイミング

フリーランスが開業届を出すタイミングは、事業の開始等の事実があった日から1ヶ月以内。
提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限となります。
法律上定められている期限なので、事業を開始したら忘れないうちに提出したいものです。
お住いの近くに税務署があれば、窓口に行って開業届をもらうのが最もスピーディですが、国税庁のホームページからもダウンロードできます。

しかし、届け出をしないことにたいするペナルティもなく、後から開業届を出しても問題はないのです。
つまり、開業届は、あなたが「今日からフリーランス(個人事業主)になる」と決めた日に提出して良いということです。

ただし、ひとつだけ注意点があります。

開業した年度から青色申告を行いたい場合には、開業の2ヶ月以内に「青色申告承認申告書」を提出しなければなりません。遅れてしまうと、開業した年度は、開業届を出しているのに白色申告をすることになります。
これでは、開業届を提出したメリットが半減してしまいますよね。
開業届を出すタイミングで、同時に青色申告認証申告書も提出しましょう。

 

開業届の書き方・提出手順

ここからは、開業届の書き方・提出方法を解説します。
手順としては、開業届を入手して、書いて、提出するだけです。
開業届の書き方は、以下の「開業届を書く」を参考にしてください。
それほど難しいものではありません。

1.開業届を入手する
2.開業届を書く
3.開業届を提出する

 

1.開業届を入手する

開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)を入手するには、基本的に国税庁のダウンロードサイトからPDFファイルで入手できます。

・国税庁ダウンロードサイト
■[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm

 

2.開業届を書く

開業届の書類には、多数の項目があります。その中でも必ず記入しなければならない項目が、以下です。

・個人事業の開業・廃業等届書:「開業」を○で囲む
・左の欄:所轄の税務署名を記入する

提出先の管轄が分からない場合はこちら:
■税務署の所在地などを知りたい方 
https://www.nta.go.jp/about/organization/access/map.htm

・左の欄:書類の提出日を記入する
・納税地:業務を行う場所の住所を書く
・氏名:氏名と押印をする
・生年月日:生年月日を記入する
・個人番号:マイナンバーを記入する
・業種:業種を記入する
・屋号:任意の屋号を記入する(任意の屋号でも、無記入でもOK)
・届出の区分:開業に○で囲む
・開業・廃業等日:開業日を記入する
・開業・廃業に伴う届出書の提出の有無:青色申告を行う場合には、青色申告承認申請書を「有」にチェックするのを忘れないようにしましょう。)
・事業概要:事業の具体的な内容を記入する
・給与等の支払いの状況:従業員に給与を支払う場合は、人数と給与形態を記入する
ファイルの2枚目には、あなたが持っておく「控用」もありますので、そちらにも同じ項目を入力しましょう。
控用への記入時には、「マイナンバー」は記入せず、空欄のままにしてください。(セキュリティ面への考慮です。)

入力が終わったら、2枚とも印刷してください。
自宅にプリンターがない場合には、USBメモリーなどにデータを入れて、コンビニで印刷しても構いません。
※押印を忘れないようにしましょう。

 

3.開業届を提出する

開業届の記載が完了し印刷が終わったら、書類を税務署へ提出しにいきましょう。
提出する場所は、開業届の「所轄の税務署名を記入する」の欄に記入した税務署です。
納税地を所轄する税務署長となっており、税務署の所在地等についても国税庁のホームページで確認できます。
納税地は、自宅兼事務所の個人事業主であれば、自宅の所在地によります。

もちろん、事務所や店舗を納税地にしたい場合には、その旨を納税地の欄に記入し、自宅の住所はその下に書いておきます。自宅住所を管轄する税務署と事務所・店舗を管轄する税務署とが異なるときは、各税務署に届出書を提出しましょう。提出の際は、2通提出すると1通を控えとして戻してくれます。
屋号の口座を開設しようとするときなど、金融機関から開業届の提出を求められる場合があるため、あらかじめ控えを保存しておくと良いでしょう。
控えにも必ず受付印をもらうのを忘れずに!

 

最後に、、、フリーランスを始めるなら開業届は出しておこう

フリーランスを始める場合でも、開業届の届け出は任意だといっても過言ではありません。
しかし、青色申告のメリットを理解したら、やはり開業届は出した方が得をします。
開業届の書き方や提出はそれほど難しいものではありません。
面倒な青色申告も、いまや簡単に済ませる方法がいくつもあります。

フリーランスになるなら、開業届を出して、青色申告に切り替えた方がメリットは大きくなります。